すずききよしの音楽日記 Vol.34  

『うたごえは命の力』『えっ?「うたごえは平和の力」って
昔からよく言ったけど、何時から命の力になったの?』
『ほら、23号台風で京都府の舞鶴市が物凄い水害物凄い被害受けたでしょ?』『TVで見たら、まるで街中が湖みたいになってましたね。』
『あの時、兵庫県の自治体の退職職員の皆さんの乗った観光バスの
運転士さんがが、交通整理していた警官に「この道、通れますか」と
尋ねたんですってね』
『で、お巡りさんはなんて応えたの?』
『「ハイ、通れます。大丈夫です。」って言ったんですって?』
『ところが、走り出して間もなく、堤防が決壊して、どんどん水量が増して来たんですって。』
『怖かったでしょうね?』
『その内、窓まで水が来たので、「皆さん、屋根に上がりましょう」って、窓をたたき破って、屋根に登って 皆を引っ張り上げたんですって』
『小柄な人や女の人は窓からは、屋根に上れないでしょうに?』
『バスの窓のカーテンを引き裂いて、縒り合せてロープを作って、引っ張り上げたそうですよ』
 『雨で濡れているし、寒かったでしょうね。』
 『身体を寄せ合って、お互いの体温で温め合い、うたを歌って励ましあったそうです。「上を向いて歩こう」や、童謡の「むすんで ひらいて」など
 皆で歌えるうたを次々に歌って励ましあったそうですよ』
 『晩の8時から朝、救援部隊が来るまで頑張ったのですから、大変な気力も必要ですよね。』
 『それと、もっと凄いのはバスが少しづつ、流されだしたことに気が付いて
 一人の方が、近所に流されてきているトラックのロープを取ろうと、泳いで行ったんですよ』
 『えっ?あの濁流の中をですか?』
 『そうです、TVの映像で立ち木に、二人の男性が登っていたでしょう?』
 『エーエー、見えました、あの人たちは、流されて来て木に登った人ではなかったのですか?』
 『違います、あの人たちですよ、泳いでいった人たちは、どうしてもロープが取れないので、戻ろうとして、木のほうに登ったのだそうです。
  そこへ竹が一本流れてきたので、あの立ち木に結びつけ、バスの方に伸ばして、バスの方は皆で持ってバスが流れるのを防いだのだそうです。』
 『「うたごえの力」と「勇気と知恵」、これがバスの乗客と運転士を救ったのですね。』