すずききよしの音楽日記 Vol.64

 

2006.5.27 大阪SAYAKAホール

 

   「梅の里」「つじやま」の仲間バンドの皆さんと

  [富田林第三中学校・吹奏楽部]の皆さんとコラボレーション実現

 

「輝け未来コンサートに、『仲間バンド』も手作りの竹製楽器で参加したい」 コンサートの準備が進む中で、「この仲間たちの夢を実現させたい」通所の施設利用者も、梅の里ホームを生活の場にしている仲間からも、積極的な希望が出ていると聞いて、私は心の底から嬉しくなりました。

 私は常々思っていたのは、イベントの時だけの、臨時の『仲間バンド』ではなく、障害を持つ仲間にとって、社会生活参加の学習の場としての「音楽セラピー」の一つとして、また、障害者として「趣味と教養」を身につけることの大切さ、そのことが障害者が健常者と対等に、「大きな未来を広げるものであると言う持論を実践することである」と言う立場で、最大限の協力をしたいと思ったからです。

 ところで、実際問題として「手作り楽器」として何が出来るかを、担当職員達と一緒に考えました。

 4月から1か月に2回、指導に訪れることになりました。
 楽器は、5種類作りました。一つは「竹製マラカス」竹の太い部分、直径が10cm以上に生長した竹を一節、昔の手柄杓のように作り、穴を開けて中に乾燥した大豆を入れ、穴を塞いだ物。
 ラテン音楽の代表的なパーカッションの「マラカス」の出来上がり、上手に歯切れ良く使うと、本物に負けないような、歯切れの良い「シャッシャッ」と、良い音が鳴ります。。
 次に、「竹・ギロ」は、直径6cmから7cm位の竹筒を求め縦に割ります。そして真横から見ると、海の荒波の様に、ぎざぎざの切れ目を入れて、大きな目の鋸のようにします。一つ一つの三角の歯が3cmくらいの大きさです。
 それを竹で作ったササラ状に割ったスティックで、シャーッとこすると、本物のラテン音楽のギロとそっくりの音が出来ます。「ジー・チャッ、チャッ」

「ジー・チャッ・チャッ」と愉快な音が鳴ります。

 三つめは「竹・ドラム」は、太い竹の直径10cm位の、長さが60cmから、100cmくらいの竹筒に、節と節の中間にH型の切れ目を入れて、作ります。

アイヌの民族楽器「ムックリ」の、大型にしたような構造です。

 まるでボンゴのような、左右音階の違う、良い音の出る楽器です。バッティングは、竹の細い棒の先にスーパーボールを差し込んだスティックがよい音が出ることも判りました。それに「ガラガラ」のような「竹とビンのキャップ」を組み合わせた「キャプキャプ」筋力の弱い子にも音が鳴らせるように鈴をつけて出来上がり。

 私が教えにこない日にも、担当職員の熱心な指導と、仲間バンドのメンバーの涙ぐましい努力で、富田林市立第3中学校吹奏楽部との合同練習も、たった2回でばっちり、息の合ったコラボレーションが実現しました。

 曲目は、三中吹奏楽部の持ち曲のラテンナンバー「テキーラ」と「仲間バンド」のテーマ曲「てのうた・吹奏楽・ヴァージョン」の2曲でした。

 テキーラも、本番では、ブラスバンドに負けない声で「テキーラ」とシャウト出来ました。また一歩仲間バンドは大きく成長しました。

 毎回の練習の終わりに「有難うございました」と大きな声で挨拶されると、嬉しくてなったし、「今日はどうでしたか?」と聞くと「とっても楽しかった」「楽しかった」と笑顔で返事が返ってくると、胸が熱くなりました。

 もちろん当日は大成功でした。「仲間バンドの皆さん。良かったね。これからも頑張りましょうね。」