私がツバキを育て出したのは、それまでメインで栽培していたバラの香りでアレルギーが出たことがきっかけでした。
椿姫の小説のイメージからツバキなら香りが少ないだろうし、もともと日本のものだから育てやすいのではと思いついたのです。
調べてみて、案外流通している資料が少ないことにビックリしましたが、少しずつ知れば知るほど、その魅力にとりつかれて行きました。
- 花が少ない冬季から早春にかけて咲く品種がたくさんある。
- 自分の希望にあわせて樹の大きさをコントロールでき、小さな鉢でも花が楽しめる。
- バラに比べて用土が入手しやすく安価で施肥回数が少なくてすむ。
- 刺がないから手入れが楽、鉢が小さいから移動が楽、病害虫の被害が(バラに比べればはるかに)少ない。
- 常緑の葉が一年中楽しめる。
- 品種が多く、花形のバリエーションも多くて、希望に適ったものを選べる。
寒い時期に咲くので花持ちが良いとか、花が落ちても水盤に浮かべて楽しめるとか、好ましく思う理由は、他にも一杯ありますが、なんといっても日本原産の植物であることに心惹かれました。
子供の頃愛読していた岩波の子供向け世界文学全集の影響で欧米の習慣にあこがれ、イングリッシュガーデンが素敵だと思って、あちらの植物を集めた時期もあります。
けれども、一生懸命育てても、此処は日本です。特に私の住んでいる場所は、夏に1ヶ月以上熱帯夜が続くような地方で、栽培が困難だったこともあり、なによりロケーションの違いから、な〜んかヘン。
しだいに、つまらなくっなっていきました。同時に、日本に住んでる日本の人なんだから日本のものも育てたい気持ちが芽生えてきのです。
中学から園芸が趣味だったのですが、その頃は狭く浅く、普通に家庭菜園、草花や球根ものを育て、大人になってからハーブにいってバラへと進んだので、それまで和のテイストとは無縁でした。ツワブキとかハランが良いと思い出したのは二十代の終りになってからです。 その後、数年して辿りついたツバキ。
どの植物もそうですが、少しやってけっこうわかった気になって、それからが面白い。
わかりかけて、わかったような気になっていたことが、だんだん良くわからなくなってきて、結局、わかったような、わからんような処に落ち着くのです。私の場合は。